2013年9月19日、函館線の大沼駅で貨物列車の脱線事故が発生しました。これを機に明らかになった線路検査データの改ざん問題は、安全運行への信頼を大きく揺るがす事態に発展。JR北海道ではこの出来事を風化させないために、翌年から9月19日を「保線安全の日」と定め、全社一丸となって再発防止と安全文化の定着に向けた取り組みを継続してきました。
道内11会場で「保線安全の日」の取り組みを一斉開催
2025年度は、経営幹部をはじめ保線社員、グループ会社の社員、合計約830名が参加。午前中は、安全の重要性についての講和や映像資料による大沼脱線事故の振り返りを行ったほか、各保線所での任意のテーマに基づいたグループディスカッションを昨年より30分拡大して実施。若手からベテラン社員までが集まり活発な意見交換が行われました。
保安に関するルール違反を防ぐための対策も議論
午後からは、昨年11月に函館線砂川駅構内で発生した保線作業員が保安体制を取らずに線路に立ち入った事象を受け、「お客様安全と社員安全」を共通テーマに、ケーススタディを用いたグループディスカッションを実施。あわせて、本事象の再発防止の一環として進めているハード対策の進捗状況も共有されました。
決意を新たに、組織全体で課題を共有
「保線安全の日」制定の契機となった事故の後に入社した社員は、今や全体の約7割を占めます(2025年7月1日現在)。当時を知らない世代が増える中、JR北海道は、「安全はすべてに優先する」という原点に立ち返り、今後もコンプライアンス教育を徹底すると同時に、デジタルツールの導入など保線業務の最適化に向けた環境整備を進めていきます。

