
探偵はバーにいる
東 直己(著)|早川書房
80年代ススキノの雰囲気が漂う、ご当地ハードボイルド
1988年に高架化されるまで、ホームと地面が同じ高さにあった札幌駅。函館から出港する青函連絡船と接続する特急列車や、道内各地への深夜の急行列車など様々な列車が発着する鉄道ファンの聖地でした。駅前の広場にはたくさんのバスが並び、さっぽろ地下街が若者の流行の発信地として活気があった時代——それが80年代の札幌だったと聞いています。
今回ご紹介する作品「探偵はバーにいる」の舞台は、バブル景気の少し前、1984年頃の札幌・ススキノです。5,000軒を超える飲食店をはじめ、大型のディスコやキャバレーで当時のススキノは大いに賑わっていました。ここで探偵のような仕事をして暮らす主人公が、さまざまな事件に巻き込まれていくハードボイルドミステリーです。
歓楽街の便利屋「俺」は、常に金欠で体はボロボロ。目覚めるとすぐウイスキーに手が伸びる酒好きで、朝に辿り着くまでなんとかススキノで生きられれば良いと思っています。でも、不器用な言葉の中には優しさがあり、自分自身に興味がないのに、困っている人は放っておけない性格。損をするとわかっていても人を助け、何度倒れても走り続ける、まさにハードボイルドなキャラクターです。
物語は、そんな「俺」が大学の後輩に調査を依頼されるところからスタート。女子短大生の行方不明事件を解決しようと奔走する「俺」の前に、キラキラと輝く表のススキノと、暗く深い闇の中にある裏のススキノが現れます。謎がどんどん解き明かされていく快感と、80年代のノスタルジックな雰囲気が味わえますが、「ススキノの夜を生き延びている人々」に焦点を当てて読んでいくと面白さ倍増です。札幌を訪れた際は、ぜひ「俺」の気分でハードボイルドなススキノの夜を感じてみてください。
筆者

小笠原 光
#三省堂書店 札幌店
1983年生まれ、釧路市出身。就職や異動などをきっかけに釧路(道東)-旭川(道北)-札幌(道央)と、北海道を東から西へ旅をしてきた。長年にわたって接客業に携わる中、興味の無かった分野に自分の身を置いてみたらどうなるかが気になって書店員の道へ。読書が特別好きなわけではなかったが、今はどっぷりとハマっている。好きな絵本は「パンどろぼう」シリーズ。店舗では専門書の売場を担当している。
三省堂書店 札幌店
| 住所 | 北海道道札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワー札幌ステラプレイス5F Google Map |
|---|---|
| 電話番号 | 011-209-5600 |
| 営業時間 | 10:00〜21:00 |
| 定休日 | 年中無休(12月31日、元日を除く) |
| アクセス | JR札幌駅直結徒歩3分 |