
利尻島から流れ流れて本屋になった
工藤 志昇(著)|寿郎社
利尻島出身の著者が故郷や書店への思いを綴ったエッセイ集
連載第3回目の北海道文学の旅は、北海道本島を離れて利尻島へ。まずは札幌駅から「特急宗谷」に乗車して稚内まで、約5時間10分の旅です。その後、稚内港からフェリーで利尻島へ向かいます。移動だけでたっぷり7時間くらいかかりますが、皆さんなら旅のお供に何を持って行きますか?
私は車内で美味しいものを食べたり飲んだりしながら景色を見るのが好きなので、乗車前に札幌駅直結の大型複合商業施設「JRタワー」であれこれ買い込みます。当店も入っていますので、旅のお供に本を買う際にはぜひ(笑)。乗車まで時間があれば、地上38階、高さ160メートルから360度のパノラマが楽しめる「JRタワー展望室 タワー・スリーエイト」をおすすめします。札幌の中心で穏やかな時間が過ごせる、私のお気に入りの場所なんです。
今回紹介する本は、長旅のお供にもぴったりのエッセイです。作者は、利尻島で三人兄弟の末っ子として生まれ育ち、現在は書店で働く工藤志昇さん。多忙な書店員としての「現在」と、島で豊かな自然と温かい人達と過ごした「過去」を行き来しながら、今の自分に問いかけ、これからの自分を探していきます。特に、利尻島で暮らす人々との交流や生活にまつわる部分は、厚岸で漁をしていた私の祖父母の思い出にリンクしました。工藤さんも書いている通り、書店員は多忙でゴールが見えにくい仕事です。でも、書店員が扱う「本」には、誰かの人生を大きく変える力があります。そんな本と人が出会える場所を、これからもずっと作り続けていきたい……私自身、改めてそう思いました。
ちなみに著者の工藤さん、私の上司でもありまして。
私は3冊買いましたよ! 見てますか? 工藤さん(笑)
筆者

小笠原 光
#三省堂書店 札幌店
1983年生まれ、釧路市出身。就職や異動などをきっかけに釧路(道東)-旭川(道北)-札幌(道央)と、北海道を東から西へ旅をしてきた。長年にわたって接客業に携わる中、「興味のなかった分野に身を置いたらどうなるか」という好奇心から書店員の道へ。読書が特別好きだったわけではないが、今はどっぷりとハマっている。好きな絵本は「パンどろぼう」シリーズ。店舗では専門書の売場を担当している。
三省堂書店 札幌店
| 住所 | 北海道道札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワー札幌ステラプレイス5F Google Map |
|---|---|
| 電話番号 | 011-209-5600 |
| 営業時間 | 10:00〜21:00 |
| 定休日 | 年中無休(元日を除く) |
| アクセス | JR札幌駅直結徒歩3分 |