
札幌誕生
門井慶喜(著)|河出書房新社
近代都市・札幌を築いた5人の熱きドラマ
新年度を迎え、札幌で新生活をスタートした方も、少しずつ街に慣れてきた頃でしょうか。
今では東北以北で最大の都市になっている札幌。皆さんは、この札幌という街がどのように生まれ、発展してきたのかをご存知でしたか?
今回ご紹介する『札幌誕生』は、そんな札幌の成り立ちを知ることができる一冊。『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞した門井慶喜さんの力作です。何もない荒野から計画的に設計・建設された日本でも珍しい計画都市である札幌。街が形成され、近代都市として発展していく姿を、都市づくりに尽力された5人の視点から描いた連作短編集になっています。
北海道開拓の父と呼ばれる島義勇、札幌農学校で学んだ思想家・内村鑑三、アイヌの歌人でキリスト教伝道者のバチラー八重子、近代日本文学を代表する作家・有島武郎、石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉、五者五様の開拓の物語が展開されていきます。
当時の札幌周辺は農耕に適さない土地も多く、冬になると極寒で、飢えと闘う日々でした。人々はそれでも諦めず、挑戦と失敗を繰り返しながら開拓に挑み続けます。特に、水上輸送の大動脈であった石狩川は蛇行が多く、洪水が頻発する「暴れ川」でした。そんな蛇行部分をショートカットして流れを良くする治水工事はどんなに大変だったのだろうかと考えさせられます。
乾いた土地だった札幌が、多くの人たちの力で徐々に潤っていって、今につながっている。
私たちが普段、何気なく歩いている道も、誰かの熱意と挑戦の積み重ねで生まれたのかもしれず、そう考えると、いつもの景色も少し違って見えてきます。札幌を築いてきた先人たちの想いと努力に圧倒されて、小説というよりは歴史書を読んでいるような感覚になりました。
JR北海道では、新生活や観光シーズンの幕開けに合わせた臨時列車やお得なきっぷが用意されています。この機会にぜひ札幌を訪れて、5人の熱き開拓の物語に思いをはせてみませんか。
※情報は記事作成時のものです。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。
筆者

小笠原 光
#三省堂書店 札幌店
1983年生まれ、釧路市出身。就職や異動などをきっかけに釧路(道東)-旭川(道北)-札幌(道央)と、北海道を東から西へ旅をしてきた。長年にわたって接客業に携わる中、興味の無かった分野に自分の身を置いてみたらどうなるかが気になって書店員の道へ。読書が特別好きなわけではなかったが、今はどっぷりとハマっている。好きな絵本は「パンどろぼう」シリーズ。店舗では専門書の売場を担当している。
三省堂書店 札幌店
| 住所 | 北海道道札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワー札幌ステラプレイス5F Google Map |
|---|---|
| 電話番号 | 011-209-5600 |
| 営業時間 | 10:00~20:00 |
| 定休日 | 年中無休(12月31日、元日を除く) |
| アクセス | JR札幌駅直結徒歩3分 |