
田村はまだか
朝倉かすみ(著)|光文社
ススキノのスナックで振り返る、同級生5人の人生模様
釧路から始まった北海道文学の旅は、特急「おおぞら」で一気に札幌へ。車窓には釧路湿原の雄大な自然が広がり、次第に都市化された風景へと変わっていきます。終点「札幌駅」から、今回の作品の舞台・ススキノへ。地下鉄に乗り換えるのもいいですが、札幌グルメを満喫するために徒歩でお腹を空かせましょう。駅前からススキノまでは地下歩行空間(チ・カ・ホ)や地下街を歩けば、20分ほどで着いてしまいます。
今回ご紹介する作品は『田村はまだか』。同じ田村さんならドキッとするタイトルですよね。小学校の同窓会に集まった5人が、3次会の会場となったススキノのスナック「チャオ!」で同級生の田村を待つ話。田村との思い出話に花を咲かせながら、40歳になるそれぞれの人生を振り返ります。仕事や生活の愚痴、悩み、迷い……なかなかうまくいかない5人の人生に、40歳を超えた私自身も共感できることが多いです。
自分で選んだ道とはいえ、常に不安や悩みが付きまとう。いろんなことをやめたいのに同時にやめたくないとも思ったり、そんな矛盾だらけの気持ちを抱えつつ、自分なりに考えて、納得させて、もう1日頑張ろう、その繰り返しの日々。些細なことで落ち込んで、また些細なことで元気を取り戻す……そんな私のことは置いておいて、この5人の人生に大きく関わってくるのが田村の言葉や強さです。どう関わってくるのかは読んでのお楽しみ。ページをめくるうちに、気づけば私もスナック「チャオ」で田村を待っているような気持ちにーー。果たして田村は来るのか、来ないのか。
筆者

小笠原 光
#三省堂書店 札幌店
1983年生まれ、釧路市出身。就職や異動などをきっかけに釧路(道東)-旭川(道北)-札幌(道央)と、北海道を東から西へ旅をしてきた。長年にわたって接客業に携わる中、「興味のなかった分野に身を置いたらどうなるか」という好奇心から書店員の道へ。読書が特別好きだったわけではないが、今はどっぷりとハマっている。好きな絵本は「パンどろぼう」シリーズ。店舗では専門書の売場を担当している。
三省堂書店 札幌店
| 住所 | 北海道道札幌市中央区北5条西2丁目5 JRタワー札幌ステラプレイス5F Google Map |
|---|---|
| 電話番号 | 011-209-5600 |
| 営業時間 | 10:00〜21:00 |
| 定休日 | 年中無休(元日を除く) |
| アクセス | JR札幌駅直結徒歩3分 |